Molby は縮環構造を作るための機能を持っています。例として、インダンを作るもう一つの方法を紹介します。今回は、ベンゼンから始めます。
"Select" モードにして、C1-C2 結合をクリックして C1 と C2 を選択します。
選択部分をダブルクリックして、ダイアログボックスに "cyclopentane" と入力します。
"OK" を押すと、5員環がベンゼン環に縮環します。
選択部分が3個以上の原子を含んでいても、縮環は可能です。例えば、インダンで図のように3つの連続した炭素原子を選択してみます。
選択部分をダブルクリックして、"C6H6"(または "benzene")と入力します。
そうすると、アセナフテンができます...だいたい。
上の図に示したように、橋頭位の炭素に1つ余分な水素原子が残ってしまいます。実のところ、Molby はあんまり賢くありません。選択部分の両端の原子から水素原子を1つずつ取り除いて、縮環する分子(この場合はベンゼン)の一部をかわりに結合して、生成する環の原子数が一致するようにしているだけです。このため、元の選択部分または縮環する分子が sp3 炭素を含んでいると、立体化学が変になることがあります。水素原子を除いたり付け加えたりして、さらに構造を最適化する必要があるでしょう(詳しくは「エネルギー最小化」を見てください)。
縮環構造を作るには、コピー/ペーストを使ったもう一つの方法があります。またベンゼンから始めましょう。
"File" メニューを開き、"Open Predefined" → "Alicyclic" → "cyclopentane" を選んでください。
"*cyclopentane*"という名前の新しいウィンドウが開き、シクロペンタン分子が入っています。3つのメチレン基を選択して、コマンド-C またはコントロール-C でコピーしてください。
ベンゼン分子に戻って、今度は H1 と H2(C1 と C2 ではなく)を選択してください。
コマンド-V またはコントロール-V でペーストしてください。インダンができます。
この「コピー/ペースト」は、実は前に説明したのと (カット/コピー/ペースト) 同じように機能しています。現在の選択部分とクリップボードの内容がともに「2つの末端」を持っているとき、末端同士がつなぎあわされ、縮環したように見えるのです。この方法による縮環は「ダブルクリック/入力」の方法よりも少し複雑ですが、何が起きているかはこちらの方が理解しやすいかもしれません。